こんにちは、マボロシ図書館へようこそ。 こちらのご利用は初めてですか? 図書館なのに本がないじゃないかって? いやいや、蔵書が膨大なもので、別に書庫があるのですよ。 ご説明しましょう。こちらへどうぞ。 この棚の、ご希望の書籍の閲覧カードを受付にお出しください。 司書が書庫より探し出してお渡しします。 閲覧は、館内のみでお願いいたします。 はい、どうなさいました? え、著者の名前しかない、ですって? ……あなたはもしかして、この場所をご存じないままここに いらしたのですか? ああ、すみません。少々驚いただけです。 では改めて、ご説明いたしましょう。 ここにある本はすべて、誰かの今までの人生を写した物語。 自分自身すら忘れている些細なこと、思い出も感情さえも、 すべて丁寧に書き記された、誰かの記憶の物語。 ここはマボロシ図書館。 四次元になり損ねた不完全な次元の狭間にひっそりと建つ、 幻の場所。 さて、あなたはどなたの人生を知りたいのですか?