【地獄の底まで付き合ってもらうぜ!】 魔王(30):世界最強らしい。魔王らしく尊大に振舞うだけの退屈な日常。本来はキャピキャピした性格。 勇者(27):比較的常識人。比較的空気。 賢者(27):勇者ラブ。勇者の為ならエンヤーコラー。割と怖いもの知らず。 魔王01「はっはっはっは!はーっはっはっはっは!」 勇者01「くっ流石に魔王ともなると今までの様には行かないか!!」 魔王02「驚くほど弱い。脆く、壊れやすい人間……よくここまで来たものよ」 賢者01「勇者さん! 回復します!」 勇者02「おうっ! 一気にたたみかけるぜぇ!!」 魔王03「なんだ、勇者と言ってもこの程度か。     せっかく待っていたというのに……本当に、ガッカリだよ」 勇者03「黙れっ! でりゃぁああああ!」 賢者02「援護魔法いきます! 大地に刻まれし太古の聖霊よ…!」    (チャラーンと魔法のかかる音) 魔王04「ふふふ、効かぬ! 効かぬわ!!」     (魔王の一振りで勇者・賢者吹き飛ばされる) 勇者04「ぐぅぅっ!」 賢者03「あぁぁぁっ!」 勇者05「………」 賢者04「………」 魔王05「どうした? もう終わりか? ふっ、あっけないものよ」 魔王06「そう、人間はあまりに弱い。一体何人の勇者を片手で屠ってきたことか」 魔王07(いやー、魔王らしくするのって疲れるわ―。勇者弱いし退屈すぎていっそ私が旅に出たいくらいだわー) 魔王08(ん? いや、存外旅も良いかもしれないなー。……そうだ、旅に出よう) 魔王09(としたら、一人旅も寂しいな……仲間集めからか? でも仲間集め面倒だなー) 魔王10(いやいやいや! 目の前に適任者いるじゃないか!     ビックリするほど弱いけど一人より絶対楽しいはずだ! でもどうやって勧誘しようかなー) 勇者06「おい……賢者……」 賢者05「……なんです?」 勇者07「……俺達、長い間ずっと一緒に戦ってきたよな?」 賢者06「そう……ですねぇ……」 勇者08「死ぬかもしれねぇな」 賢者07「そうですね」 勇者09「今なら……」 賢者08「勇者さんに付いて行くって決めた時から……私の命は勇者さんと共にありますよ」 賢者09「今更、逃げろとか言わないでくださいね?」 勇者10「へへっ……そうだな」 賢者10「そうですよ」 勇者11「……立てるか?」 賢者11「余裕……ですよ」 魔王11「お? まだ立つのか。もうやめておいた方が良いんじゃないか? 今後に支障が出たらどうす……」 勇者12「黙れ、魔王!!」 勇者13「いくぞ、賢者!」 勇者14「地獄の底まで付き合ってもらうぜ!」 魔王12「!!!!!」 賢者12「はいっ」 魔王13「おっけー☆」 賢者13「えっ?」 魔王14「え、なに! 地獄の底とか行くの!?」 勇者15「えっ?」 魔王15「地獄の底とか割と得意なダンジョンだし! 勇者弱いし暇してたし!     いいよ、協力してあげるよ! 地獄の底に行こう!」 勇者16「はっ?」 魔王16「あ、なに? さっきの攻撃で体力無い?? それくらい直してやろう!」    (パァァァァっと勇者賢者 全回復) 賢者14「えっ」 魔王17「あ、賢者ちゃん何不細工なツラしてんの? だから魔法弱いんだよー」 勇者17「魔王貴様……何のつもりだ!」 魔王18「え? 地獄の底まで付き合ってほしいって言うパーティ勧誘じゃないの?」 勇者18「ふざけるな、誰が魔王なんかと! 貴様はここで息絶えるんだ!」 魔王19「えー。でもやめといた方がいいよ? 君、絶対死ぬよ?     だったら、一緒に先のダンジョン行った方が楽しくない?」 賢者15「先……って……。あなた、ラスボスじゃないんですか……?」 魔王20「え、なにそのRPG的な発想。上には上がいるし。     そもそも世界最強とか言ったって、全世界回って統計とったワケでもないのに適当過ぎない?」 勇者19「……話が急展開すぎて、ついていけないんだが」 賢者16「奇遇ですね、私もです」 魔王21「あー……おバカさんな勇者ご一行の為にわかりや〜すく解説するとだね?     ”魔王らしくするのも飽きたからボスやめる。パーティに誘われたし仲間になってやろう”と言う事かな!」 賢者17「御断りですよ!!」 魔王22「ケチだな。だから魔法が弱いんだよ」 賢者18「余計なお世話です!」 勇者20「……お前は、敵ではないのか?」 魔王23「戦う気はないな。だって勇者弱いし」 賢者19「失礼です!」 勇者21「賢者、いいんだ……確かに手も足も出なかったんだ、間違いじゃない」 賢者20「そんな……」 勇者22「本当に、仲間になるのか?」 魔王24「しつこいな。だから勇者なのに弱いんだよ」 勇者23「答えろ」 魔王25「なるよ、なりますなります。信用できないんだったら、とりあえず地獄の底までって契約で」 勇者24「うーん……」 賢者21「勇者さん……」 勇者25「分かった。ひとまず地獄の底まで付き合ってもらおう」 賢者22「勇者さん!?」 魔王26「やったー。話が早くて助かるよ。こう、いきなり襲われたのはこっちなのにウダウダ文句言われるとか好きじゃないんだよね」 勇者26「ただし! お前を信用したわけでも、仲間と認めたわけでもないからな。戦力が増えるから加えただけだ」 魔王27「おっけー」 賢者23「……勇者さんがいいと言うのなら、私は反対しません」 魔王28「おや、賢者ちゃん聞き分け良くなったね。今ので魔法強くなったんじゃない?」 賢者24「ふざけないでください。あなたこそ、最初とキャラが違いすぎるんじゃないですか?」 魔王29「魔王らしくする遊びしてただけだし? 偉そうな高笑いとかホント肩こるから。はーっはっはっはっは!」 賢者25「やかましいです。あと、そのノリうざったいのでやめてください」 勇者27「まぁまぁ……と、とりあえず……い、行こう……か?」 賢者26「はい。あ、魔王は私たちの後ろを歩かないでください」 魔王30「なに、役職名で呼び合ってるの? だから勇者との距離も縮まらないんだy」 賢者27「余計な事言わないでください!!!」 魔王31「俺たちの旅はまだ始まったばかりだ!」 賢者28「仕切らないでくださいー!!」