題名:剣客無双時代 第4話    作者:うっすい。     〜登場人物〜 柳生十兵衛(♂)34歳: 「やぎゅうじゅうべえ」 刀:大典太光世(おおでんたみつよ) 流派:柳生新陰流(やぎゅうしんかげりゅう) 強者(つわもの)を求め全国行脚する剣客 強者を見つけると死合う事しか考えなくなる 豪快な殺気を放つがそれとは裏腹に繊細な洞察力も持っている 元現人神護衛指南役筆頭 沖田総司(♀)19歳: 「おきたそうし」 刀:加州清光(かしゅうきよみつ)   大和守安定(やまとのかみやすさだ) 流派:北辰一刀流(ほくしんいっとうりゅう)    天然理心流(てんねんりしんりゅう) 剣の腕を磨き続け剣豪と呼ばれるようになる。 日課は山森の温泉での湯浴みである チヨ爺or婆(不問)?歳: 沖田総司と柳生十兵衛のお世話係 不和の国の忍であったが国が滅び、世話係として今も働いている 優しさの中にも剛直なまでの信念を持っている 半兵衛(♂)29歳: 「はんべえ」 野安の筆頭同心 普段の性格は穏やか 仕事の事になると厳しく真面目 お時と言う娘がいて娘想いな父でもある お時 (♀) 9歳: 「おとき」 半兵衛の娘で優しい心の持ち主 赤ん坊の時に捨てられていたが半兵衛に拾われる 黒装束(不問)?歳 「くろしょうぞく」 お時を攫おうとしている謎の集団 体術、苦無、短刀を武器にしている手練の集団 ---------------------------------------------------------------- 〜役表〜 柳生十兵衛 (♂):           沖田総司  (♀):      半兵衛   (♂): チヨ爺or婆(不問):      お時    (♀):      読み手  (不問):      黒装束  (不問): ----------------------------------------------------------------        『現人神(アラヒトガミ)であるはずの天皇は、                  自らは神では無く人であると                 世に知らしめ、死に、幕府や、政府、現人神の下に動いていた者                 全てが下克上に晒される。              そう・・・。            秩序が崩壊し、俗世は力が支配する                 世へと変わり果てていた。              力が全てを支配し、力強き者が栄華を誇れる。                 力無き者は虐殺、陵辱といった様々な苦しみを強いられ、                 弱き者は奪われる事が当然になっていた。                ある者は強者(ツワモノ)の下につき、ある者は強者を破り、             腕に覚えのある者達は我先にと競って腕を磨き、自分の強さを            誇示する。                 至る所で争いが起こり、互いの命を奪い、奪われる、                 悪鬼・羅刹のはびこる・・・そんな現世(うつしよ)。』 ---------------------------------------------------------------- 001読み手  沖田総司を巻き込みつつ運命の歯車が廻り始めた・・・。                   十兵衛と総司を襲う黒装束の集団。         果たして、黒装束の狙いは!?         十兵衛と総司はお時を守り切れるのか!?         運命の歯車はどの様な結末を用意しているのか? ---------------------------------------------------------------- 002読み手 沖田邸玄関前にて         沖田邸を黒装束の集団に襲われ、それを迎え撃つ沖田総司と         柳生十兵衛、お時が狙われている事は明白。         だが、狙われる理由も解らずに、ただ降りかかる火の粉を払うのみ、         お時が狙われる理由を探さねばならぬ事、お時を守り切る事。         今はただ、お時を守り切る事をせねばならなかった。 003十兵衛M「まず、一人目じゃのう・・・。」        「さて、残り14人か・・・。」        「さっきのを見て儂に向かってくるとは         お時ちゃんには何かあるのう。」          「確かに手練であるの。」         004総司  「だから油断するなと言ったではないか。」        「せぃ、はあっ!」        「天地陰陽の構えに死角は無いと知れ!」                「これで残り12人か・・・。」 005十兵衛M「これを見てもまだ掛かってくるか・・・。」        「お時ちゃんには相当な秘密があるやもなぁ・・・。」                「っむ!?瞬幻歩法!」        「いくら儂でも同時に12個の飛び道具は撃ち落とせぬからの。」               「毒が塗ってあるやもしれぬ・・・。」        「かすり傷も負えぬのぅ。」  005総司  「この数、やっかいだな・・・。」 006十兵衛M「恐く強力な即効性の毒ぢゃろうて・・・。」 007十兵衛 「一匹ずつ片付けていくかのう!」 008総司  「せいあ!」 009総司M 「やはり狙いはお時ちゃんか!?」        「あと11人か。」 010十兵衛 「3人ひと組になったか・・・。」 011十兵衛M「相当の状況判断力じゃのう・・・。」        「飛び道具を主体に切り替えたか・・・。」        「やりおる・・・接近戦では敵わぬと見るや遠距離戦に切り替えたのう。」 012総司M 「こいつら、死を恐れていない。」 013総司  「十兵衛!やっかいだぞこいつ等!」        「死を恐れていない!!」 014十兵衛 「それぐらいわかっとるわい・・・。」                  「しかし、このぐらいでは、この十兵衛を仕留められぬぞ?」        「瞬幻歩法からの乱れ虎突!!」        「ずりゃりゃりゃりゃ!!」 015十兵衛 「このぐらいで殺られる十兵衛ではないわ!」 016総司  「十兵衛!後ろだ!!」 017十兵衛 「そんな事は百も承知!!」        「甘いわぁ!ぬぅん!」 018十兵衛M「あと8匹。」        「さて、次はどんな策かのう・・・。」        「むう、あくまで遠距離を保つか・・・。」        「今度は一箇所に集まったか。」 019十兵衛M「妥当な手段ぢゃのう。」        「8連での飛び道具か・・・。」 020十兵衛 「お主ら中々やりおるのう!」        「儂が数匹を切っているうちに、他の者が儂の隙を襲う布陣。」        「じゃが・・・これならばどうする!?」               「瞬幻歩法!うぉりゃ!」        「一匹を斬った後、防御に回ればどうする?!」        「残り7匹での近距離戦になるよのう?」                  「さすれば必然的に切りつけてくる・・・。」        「そこがお主等の隙になるのじゃよ!!」        「ぜぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇい!        「これで3匹いなくなったぞい?」 021十兵衛M「残り4匹」        「ぬっ!?」「一匹逃げる!?いや、伝令ぢゃろう・・・。」        「それも甘いわい!」        「柳生新陰流・裏虎突!!」        「さあ、あ残り3匹!なんと!?3匹が違う方向に引くか!」        「面倒な事になったのう・・・。」 022総司  「これは面倒だな・・・。」 023十兵衛 「じゃのう。」 024総司  「ぬぅ・・・。」        「一時的にまた半兵衛の長屋に匿うか。」        「むこうはまた半兵衛の長屋に匿うとは思わぬはず・・・。」 025十兵衛 「そうかのぅ?儂は違う所がいいと思うがの。」 026総司  「どうしてだ?」 027十兵衛 「一度でもお時ちゃんが居た所は張られていると         思うたほうが普通ではないか?」 028総司  「そう言われればそうかもしれんな・・・。」        「では、半兵衛に身を隠すに適した所を聞いてみるか。」 029十兵衛 「そうぢゃの。」 ---------------------------------------------------------------- 030読み手 某屯所にて 031半兵衛 「なんと!」「お時がその様な集団に狙われているとな!?」        「十兵衛殿、沖田殿、誠に有り難う御座います!」 032総司  「まだ礼を言うには、はやいぞ。」        「これからが正念場だ。」        「同心や岡っ引きではまず歯が立たん手練ばかり。」 033十兵衛 「黒装束を見つけたらすかさず逃げて、         お主に報告しろと言っておいたほうが良いであろうな。」 034半兵衛 「そんな腕の立つ者ばかりなのですか?」 035総司  「あぁ、そこいらの剣客などでは敵うまいて・・・。」 036半兵衛 「そこまで手練なのですか!?」 036総司  「うむ」 037半兵衛 「ではどうすれば良いのですか!?」        「このまま指を咥えてお時が攫われるのを待っていろと!?」 038総司  「落ち着けぃ!」        「この前も言った通り、もっと落ち着いて考えろ。」        「半兵衛、お前だったらどうする?」 039半兵衛 「全力で逃げますね・・・。」 040総司  「逃げきれるかどうかは別として。」        「同心達には見かけたら逃げて半兵衛に報告、         指示をあおげ・・・と、言っておけ。」                 「無駄な犠牲を出さぬ為にも徹底しとけよ。」 041半兵衛 「は、はい、わかりました!」 ---------------------------------------------------------------- 042読み手 沖田邸居間にて         総司達は邸に帰りチヨとお時に一部始終を話した。         そしてこれからの事を相談している。 043チヨ  「何ですと?此処を離れるのですか?」 044総司  「そうだ、此処にいたらまた同じ様に襲われるであろう。」        「その事で話があるのだが・・・。」 045半兵衛 「え?何で御座いましょうか?」 ---------------------------------------------------------------- 046読み手 山林の獣道にて  047半兵衛 「そうなんですか、わかりました・・・。」 048半兵衛M「お時にはどんな秘密が隠されているのか・・・。」        「河原に捨てられていた赤子に・・・。」 049半兵衛 「しかし、見つけて報告が入るまでに殺されてしまうのでは!?」        「そうならないでしょうか?」 050総司  「可能性は十二分にある、が、言い方は悪いが、         同心や岡っ引の死体が転がっていたら、         黒装束の奴等が来た証拠にもなる・・・。」         051十兵衛 「儂等には手を出しづらくなったはずぢゃ。」 052総司  「俺らを倒すよりお時ちゃんを直接、攫った方が楽だしな。」                      「そして、お時ちゃんを移動させる時が一番危険なのだ。」          ---------------------------------------------------------------- 053読み手 沖田邸居間にて 054チヨ  「お時ちゃん怖かったぢゃろう?         何故お時ちゃんが狙われとるんかのぅ・・・・・。」        「今は半兵衛殿と総司様達が解明しようと頑張っておられるでな。」                               「こちらも恐怖に負けぬよう元気を出していかねばの!」 055お時  「そ・・・そうだよね!」        「父上も必死になってくれてるんだから、私も頑張らないと!」 056チヨ  「お時ちゃんは強い子じゃのう。」         「もし、襲われたらチヨが命をかけて、守りますじゃ。」 057総司  「おーぃ!チヨとお時ちゃんはいるかー?」 ----------------------------------------------------------------   058読み手 沖田邸玄関にて 059チヨ  「総司様じゃ、どうされたのかのう?」        「総司様、どうされました?」 060総司  「半兵衛達と話し合った結果、此処にお時ちゃんを        「置いておくのは危険と判断した。」        「よって、お時ちゃんを何処かの屯所に預ける事にした。」        「屯所でも一箇所に留まらず、点在する屯所を3日毎に移動させる案だ。」 060チヨ  「成程!それならば相手も絞りにくいですな!」 061総司  「決行は明日から始める、お時ちゃんにはチヨから伝えておいてくれ。」 062チヨ  「わかりました、私も準備せねばなりますまい・・・。」        「お時ちゃんには私からちゃんと伝えますで。安心して下さいまし。」 ---------------------------------------------------------------- 063読み手 沖田邸居間にて                 チヨはお時ちゃんに事情を説明し、落ち着いて行動する事と         半兵衛を信じて心を強く持つことを伝えた。 064お時  「うん!わかった!」        「でもいいの?お邸を留守にして・・・。」 065チヨ  「あやつ等の目的はお時ちゃんですでな、邸は心配には及びませぬ。」 066お時  「でもなんで私って狙われてるの?」 067チヨ  「それは分かりませぬ、しかし狙われているのは確実ですじゃ。」        「相手の狙いがお時ちゃんなのは事実です、このチヨがお守りしますぞ」         068お時  「なんで私、狙われているんだろう・・・。」                 069チヨ  「それはチヨにも分かりかねますが・・・・。」 070お時  「何故、私なんだろう?」 071チヨ  「ん?お時ちゃん・・・。」        「襟の所がホンの少し膨らんでませぬか?」          072お時  「あれ?、ホントだ。」 073チヨ  「私に見せてくださるかえ?」 074お時  「いいよー、はい!」                     075チヨ  「何か四角い布の様な物が入っているようですな・・・・。」 076お時  「なんだろう?」 077チヨ  「はて?なんでしょうな?」        「お時ちゃん、取り出しても良いですかな?」 78お時   「うん。」        「いいよー」   079読み手 「襟口を開けるとそこには小さなお守りが入っていた。」        「更に中にはごく小さな鍵が入っている。」        「重さも感じないくらいの軽い金属製の鍵」        「なぜ今まで気づかなかったのかは謎である。」 080チヨ  「恐くあの黒装束の集団はこの鍵を求めているのでしょうなぁ」 081お時  「だったらこの鍵をあいつらに渡しちゃえばいいんじゃないの!?」 082チヨ  「この鍵の存在を知っている奴らを生かしておいてはいけない・・・。」        「と、秘密を握られたら困る物なのでしょうなぁ〜。」 083お時  「そっそれじゃあ私たちってずっと追いかけられるの!?。」 084チヨ  「残念ながら、そういう事になりますなぁ・・・。」   「これからは十兵衛殿か総司様がいる時でないと         外出すらできませんなー。」        「さぁ出掛ける準備しなければなりますまいて。」 085お時  「うん!」「わかった!」 ---------------------------------------------------------------- 086読み手 沖田邸にて   087十兵衛 「チヨ殿!迎えに来たぞい!」 088チヨ  「わかりましたぞえ!今しばらくお待ち下され!」        「お時ちゃん!用意は済みましたかえぇ〜?」 089お時  「うん!おわったよぉ〜」 090十兵衛 「では行こうかのぅ」 ----------------------------------------------------------------          091読み手 野安(のあ)の路上にて   092チヨ  「おや?こっちの屯所からですか。」 093十兵衛 「そうじゃ、マズは端から行こうと思うての。」 094十兵衛?「お前達を人質にしようと思うているからの!!」 095黒装束 「さぁ、例のものを渡して貰おうか?」 096チヨ  「例のものとはなんじゃ!?」 097黒装束 「知らぬのか?知らぬならば他の二人に聞くまでよ。」 096チヨ  「無駄ですぞ!総司様や十兵衛殿がお前達などに負ける         筈がない!二人がいないならば!このチヨが!!」 097読み手  屯所から複数の黒装束達が出てきた。         黒装束達は速やかにチヨとお時を取り囲む          黒装束達は短刀と苦無を構えている 098黒装束 「年寄りの冷や水だぞ?」                「確かに、二人には敵わぬであろうなぁ〜」        「しかし、こちらには人質がいるからな・・・。」        「果たしてその十兵衛と総司、半兵衛とやらは、どうするかな?」 099お時  「卑怯者ぉ!」 100黒装束 「何とでも言うがいい・・・。」        「チヨとやら・・・我らに敵うとおもっているのか?」      101チヨM 「っく、いくら私でもこの数は無理じゃ。」 102黒装束 「さて・・・と、屯所と半兵衛の長屋に         手紙を届けて指定の場所に引き込むさ。」 ---------------------------------------------------------------- 103読み手 半兵衛長屋にて 104半兵衛 「んな!」 105総司  「せいっ!」 106読み手 「苦無を叩き落とす総司、総司は苦無に         何か付いているのを気付いた。」         それは手紙であった[チヨとお時は我らが預かった、         無事に返して欲しくば、廃寺へ来られたし]と言う内容であった。         その手紙を見るやいなや、半兵衛は走り出して         廃寺へ向かってしまった。  ----------------------------------------------------------------  107読み手 とある廃寺にて        108半兵衛 「お時!!!」 109黒装束 「マズは1匹・・・か。」 110読み手  黒装束達の放った無数の苦無が半兵衛を刺し貫く、                        そして、無言で倒れる半兵衛・・・         お時が声無き声で泣き叫ぶ。         半兵衛の口元だけが動き、「お・・と・・・き・・・。」                   と言っているように見て取れた・・・・・・。 111総司・十兵衛        「半兵衛!!!!」        「っく!!」 112総司  「半兵衛・・・。」 113十兵衛 「お主ら・・・わかっておろうのう・・・。」 114黒装束 「チヨとかいう老人とお時と言う小娘、         こっちには人質が居る事を忘れるなよ?」 115総司  「くぅ・・・。」 116十兵衛 「ぬううううううう。」       117黒装束 「さぁ、刀を手放して貰おうか・・・。」 118読み手  半兵衛を失い、お時とチヨを人質に捕られ、不利な状況の         総司と十兵衛に打開策はあるのか? 119総司  「お主ら!絶対にゆるさぬ!!」  ---------------------------------------------------------------- 120読み手 沖田総司を巻き込みつつ運命の歯車が廻り始め・・・。        加速してゆく運命の歯車、果たして歯車の終着点は?        沖田総司の周りで起こる事件の数々、        沖田総司の歯車がさらに加速していく・・・・・・。         ---------------------------------------------------------------- 121黒装束 「さぁ!皆の者!」        「手加減はいらぬぞ!」        「さぁ!!一斉にかかれぇぇい!」  ---------------------------------------------------------------- ★アナザ 3:0:1 ★第1話 3:1:4   左記も宜しくお願いします。            ★第2話 5:1:1   面白い面白くないがききたいわーw ★第3話 2:2:2    ★第4話 2:2:3