女子力 A「ぶぇーーーっくしょぉい!!」 B「あんたねぇ…一応女子なんだからさ、もうちょっとこうかわいいくしゃみ」 A「っっだぁぁぁーあああっくしゃあああああい!!」 B「言ってるそばからもーーー!!! はい、ティッシュ」 A「うぅ、ありがと…(鼻をすすりながら) おとといくらいからくしゃみとまんなくってさー…」 B「風邪? あ、ちょうど生姜紅茶持ってきてるけど飲む?」 A「生姜紅茶? なにそれ」 B「ジンジャーティー、生姜のすりおろしを入れたあったかい紅茶。 殺菌抗菌作用とポカポカする生姜パワーで軽い風邪なら治りやすくなるよ、はい」 A「ん……(ごくごく飲んで) ふぇー…確かに、あったかくてほっとするやー…ほんのり甘いし」 B「蜂蜜にレモン漬け込んだやつ作ってあるんだけど、それもちょっと入れてるの」 A「マメになんでも作るねー……」 B「あはは、主婦みたいでちょっと恥ずかしいけどね」 A「主婦っていうか女子力高いんじゃない?」 B「女子力?」 A「うん、家事全般難なくこなしてかつ女の子らしいアレンジもきくし」 B「うーん、でもこんなの普通じゃないかなぁ…」 A「そうそれ、『こんなに女子力高いアタシ♪』みたいに過剰にアピらないところが大事だと思う」 B「そ、そうなの?」 A「だってさだってさ、過剰にアピるってことは『褒めて褒めて』ってことでしょ?」 B「うん」 A「ってことはさ、自分は褒められるような事をしている、っていう自覚があるわけ」 B「褒めて欲しいのは、がんばったから…あぁ!」 A「うん、できて当然、やって当たり前の事をさも『最大限の努力をしました』って辺りに撒き散らしてる時点で既に『できて当然の事すらやってません』っていう日常を周知してるのと一緒、って、感じで、ふぇ、ふぇええあああああああああっくしょおおおおい!」 B「だからなんでそんなにくしゃみが男らしいのよ!」 A「で、出物腫れ物、ところかまわず……」 B「少しはかまいなさいよ! ほら、女子力女子力!」 A「いや、あのね、かわいいくしゃみもやろうと思えばできるんだよ?」 B「なんでやらないのよ」 A「実は、その、止むに止まれぬ、じ、事情が」 B「いいからやってみてよかわいいくしゃみ!」 A「ふぇ、ふぇくちっ!」 (SE:おなら) B「んんっ?!」 A「いやー…かわいいくしゃみをしようとするとね、変なところに力が入っちゃうみたいで…」 B「いやだからってあんた…!!」 A「かわいくしようとするとおならでちゃうから、プラマイゼロかなぁって」 B「むしろマイナスだよ!!? なんとかならないの?!」 A「なんとかしようとしたら、こ、今度、は」 B「うわまたきた、今度はなんだ!?」 A「は、はくちっ!」 B「……んっ?」 A「……おならは、でないんだけど……」 B「別に、なんともなさそうだけど……?」 A「……少量の、尿が、漏れる」 B「なんだそれえええええええええ!!! ええええ、あの、えーー?!」 A「うぅぅ…女子力とは程遠い…お恥ずかしい…」 B「恥ずかしいにも程があるわよ!」 A「だから結局は、普通にくしゃみするのが一番、って、感じ、で」 B「またくしゃみ今度は普通にするの?!」 A「へ、へぁ、へぶぁあああああああっしゅぁいぁぃぃぁぃぁぃ」 B「おまけが長すぎるーーー!!!」 A「結局このくしゃみのせいで彼氏には振られるし」 B「う、うーん、くしゃみが原因なのかなぁ…」 A「くしゃみがおっさんみたい、って言われちゃったもん」 B「でもそれだけで別れを切り出す男とかどうなのよー」 A「まぁ、他に女作ってたみたいだしー…体のいい別れ文句ってとこでしょ」 B「意外とあっさりしてんのねー」 A「そりゃあねー…はぁーあ」 B「ま、ささっと風邪治して次の男見つければいいじゃん、ね」 A「うんー、そうするよー」 B「ジンジャーティ、もう一杯飲む?」 A「うん、あり、が、ふぇ、ふぇっ――…」 B「またくしゃみーーーーーーーーーー!!!」