『世界でいちばん愛されガールっっっ!第2話』 A:ナレーター。 B:女性。自称、世界で一番愛されガール。エンコーしたらぎりぎりタイーホっぽい外見。 C:男性。絵に描いたようなオタク気質と見せかけて斜め上にキモイ。 D:男性。おまわりさん。たぶんピュアー。たぶんチェリー。 X:モブ。それ以下ではないがそれ以上かもしれない。 A01「ある日、ちらちらと雪が舞い降る季節、女の子は街角に立っていた」 B01「愛はいかがですか。愛はいかがですか。愛をおひとついかがですか」 X01「何あれ。宗教?」 X02「風俗じゃね?」 X03「ちょ、どこの店だよおい。レベル高えな」 X04「落ち着け。ぎりぎり逮捕フラグだ」 X05「可哀想に。何にせよ可哀想に……」 B02「愛はいかがですか。愛をおひとついかがですか。……ふう、なかなかもらってくれないな   あ。だけどくじけるな私!私は幸せになるんだ。私は愛されるんだ。だって私は世界で一番   愛されガールっ!」 A02「女の子の足もとで草木が芽吹いた。しかしそれなりに人通りの多いこの道、すぐさま踏み   つぶされた。今は時期が悪い」 C01「ち、ち、ちみ。こーんなところでな、何やってるのかにゃー?」 B03「あ、はい。愛を売っています。愛はいかがですか」 C02「うほっキタコレ!……いかんいかんタイーホタイーホ。……お、お嬢さん。まだ若いのに   こんなことをしていちゃいけませんでござるよ。お金が必要なのか、な?だったら、せ、拙   者が足長おじさんになってあげるぅ」 B04「いいえ、お金は要りません。私が欲しいのは愛。ただ、愛。あなたの愛が欲しいんです」 C03「……それはインラン的な意味で?」 B05「インランって何ですか?」 C04「……。あ、愛はいかがですか!この子の愛はいかがですか!」 B06「愛はいかがですか。愛をおひとついかがですか」 D01「こほん。あー、君たち、往来の真ん中でいったい何をしているのかね。いいかね、公の道   路を使って何かするときはまず警察に」 B07「愛はいかがですか」 D02「ナヌ!?」 C05「拙者らは、あ、愛を売っているだけでござる。12月の寒空の下、にくたらしくもぬくぬく   としたアンチクショウどもを尻目に、拙者はただ、愛を欲しているんです。拙者だって愛し   たい!愛されたい!ええい、愛はいかがですか!愛はいかがですか!」 D03「な、な、な」 B08「愛されたい。愛されたい。愛されたい。私は世界で一番愛されガール!愛はいかがです   か」 BC1『愛はいかがですか。愛をおひとついかがですか』 D04「愛はいかがですか!俺の愛もいかがですか!……チクショウ。俺だって愛されたい!」 B09「私なら愛してあげられる。だからおじさんも、愛して?」 BCD1『愛はいかがですか。愛をおひとついかがですか』 X06「なんだあれ」 X07「ほら、今12月だから」 X08「気持ちはわかる」 X09「……いや、俺は、俺も愛されたいぞ」 BCDX1『愛はいかがですか。愛をおひとついかがですか』 X10「愛をください!寒空に震える俺に愛をください!」 BCDX2『愛はいかがですか。愛をおひとついかがですか』 X11「今すぐよこせ!べ、別に寂しい訳じゃないんだからね!」 BCDX3『愛はいかがですか。愛をおひとついかがですか』 X12「愛したい!愛されたい!だけどとりあえず今は愛されたい!」 BCDX4『愛はいかがですか。愛をおひとついかがですか』 BCDX5『愛はいかがですか。愛をおひとついかがですか』 BCDX6『愛はいかがですか。愛をおひとついかがですか』 A03「この一週間後、一つの街が愛で満ち満ちた。冴えない男も、残念な女も、それから圧倒的   多数のデキた方々も、みんなみんなひとりの女の子を中心に、愛で繋がった。愛のド真ん中   で女の子が立っている。女の子が愛のド真ん中で叫んでいる。すなわち、今まさにこの瞬   間、女の子は街で一番の愛され」 B10「いいえ。いいえ、違うわ。だって、私は世界で一番愛されガールっ!何故なら私が決めた   から。世界中誰からも愛されて、世界中誰よりも愛されたい。それこそが私。すなわち。   ――次は世界だ!」