『世界でいちばん愛されガールっっっ!第1話』  ある日、女の子はひとりぼっちだった。地面がめくり上がり、海は泥に汚れ、空は土煙で覆わ れた、おおよそどこを見渡しても薄汚れた赤茶色の世界の中で、女の子はひとり、呆然と立ち尽 くしていた。  少女は元々迷子であった。幼少のみぎり、大好きな母と生き別れ、母を訪ねて三千里。もはや 母と再び会う日は来ないと悟り、この際誰でもいいから愛されたいと、宇宙をさまよい3億光年。 歩む速さは第三宇宙速度。60120km進んで40269km下がる。それって実質第一宇宙速度以下じゃ ん。っていったい何の話だ。  とにかく。そんなこんなで。迷子の女の子は、何やら賑々しく華やいでいた僕らの地球を見つ け、愛されるために降り立った。直径12kmの宇宙船に乗って。時速72000kmの速さで。  結果。  女の子はひとりぼっちだ。赤茶けた世界の中で、見渡す限り、動くものは女の子のほか誰もい ない。そう、すなわち彼女こそが世界で一番愛されガール。世界でたったのひとりぼっちなら、 ベストワンは彼女を置いて他に無し。逆説的に。今まさにこの瞬間、女の子は世界で一番愛され ガール。 「なーんてオチ、認められるはずがない!世界中探したって、どこの誰がこんなお話に満足でき るもんか。私が言うんだ、間違いない!」  女の子はひとり笑った。悲しいことなんてひとつもない。辛いことはたくさんあっても、最後 に笑えたならそれはハッピーエンドだ。ひとつ大きく息を吸って、女の子は高らかに宣言する。 「私は幸せになる!絶対に、いつか絶対に。私が決めたんだ、だったら、私にとってそれは絶対 だ。世界中誰からも愛されて、世界中誰よりも愛されたい。私が一番。私こそが、世界でいちば ん愛されガールっ!」  女の子の足もとで草木が芽吹いた。何故なら愛は地球を救うからだ。 「さて、お話の続きを始めましょうか」