飛ぶレター A 天使みたいな人 B あんちゃん A1「郵便でーす!」 B1「やあ、いつもありがとう、助かるよ」 A2「こちらこそ、いつもご利用いただいて有難うございます、ご友人の方からのお手紙ですか?」 B2「うん、といっても会った事も無い人達からだけどね」 A3「随分たくさんですね」 B3「そりゃあそうさ、こうやって君と、手紙とを通すことでしか僕らは繋がっていられないんだから。 なにせ僕らには君みたいな羽は、無いからね」 A4「あのぅ、いつか聞こうと思ってたんですけど、寂しくなったりはしないんですか? こんな空の中、小さな島に一人ぼっちで浮かんでいるなんて」 B4「うーん、どうだろう生まれたときからこうだから。寂しいといえば寂しい、けど 手紙だけでも繋がってる人達がいるから、そんなには気にならないかな」 A5「そういうもんですか」 B5「君のおかげだよ、ああ、たまに君がうらやましくなる時はあるかな、その羽を借りて 自由に飛び廻って、手紙の向こうにいる奴らを驚かせてやりたい気持ちはあるね」 A6「むう、これはダメですよ、皆さんが行けない所に飛んでいけるのだけが私の取り得なんですから!」 B6「冗談、ほんとは高いところ苦手でさ、こんな所に住んでるのに下を見ると足が震える 空なんか飛んだ日には目が回っちゃうんじゃないかな?」 A7「でも……見慣れていますけど不思議なものですね、住んでるところが浮いているなんて 魔法の力かなにかでしょうか?」 B7「さてね、君の客の一人に高い山の近くに住んでるやつがいるだろう?」 A8「ええ、います、手紙の差出人の一人ですね、すごく立派な山で、飛び越えるの大変なんですよ」 B8「そいつが言うには、島の高度は年々下がっているんだって、山の高さで計ってるらしい」 A9「え! それじゃ、おっこちちゃうじゃないですか、ぺしゃんこですよっ! 逃げて!!!」 B9「いや大丈夫だって、落ちてるって言っても本当にゆっくりで見た目には解らないらしい」 A10「へぇー それじゃ最後は軟着陸ですね! よかった……あ、全然良くないです」 B10「なんで?」 A11「地面に着いたら、自分の足で会いに行けちゃいます、手紙、いらなくなっちゃう……」 B11「あぁなるほど、それはそうかもね、でも着くとしても何百年も後かもしれない。 それに本当のとこは解らないんだ、逆に高度はあがってるって奴もいるしね」 A12「それははっきりして欲しいですね! どっちなんでしょうか?」 B12「解らないよ、両方の意見が正しいって事も有り得る 地面に近づいてる奴、空に登っていくやつ、両方いるのかも」 A13「ふーん、なんだかなんだかですね、やっぱり不思議です。 けど暫くは大丈夫そうですね、多分」 B13「そうだね、んー…多分」 A14「じゃあ、安心した所でわたしはこれで失礼します!」 B14「あ、僕の手紙!」 A15「おっと、忘れてました、てへ!」 B15「はい、ちゃんと届けてねー」 A16「了解です、それじゃ今度こそーまたでーす」