『魔道の宴』 塔からの眺め、壮観なり。 楽しや、愉しや、地獄の宴。 われが片腕振るう度、魔なる者ども、塵と化す。 われが呪文を詠う度、邪なる者ども、肉と化す。 最期に笑うは、われか、ぬしらか。 われには強き魔道あり、 ぬしらは数の利で勝る。 うふふ、たのしや、殺意の宴。 わが塔登りて、殺しにきやれ。 魔道士の顎から、汗が滴る。余裕の笑みは凍りつき、絶望の一歩手前をさまよう。 それでもなお、魔物の軍勢は攻め来る。 彼自身、わかってはいる――――自分の命はもうじき終わる。 なればこそ、宴をやめるわけにはいかない。 彼の血肉こそ、宴の主菜なのだから。