勇者さまも大変なんです (SE:店のドアの音) 店員01「いらっしゃい、お客さん!ゆっくり見てってくれ」 勇者01「どうも、薬草99個ください」 店員02「はいよ、薬草ね (ん…こいつ?出で立ちからして冒険初心者には見えないけど) ・・・って、99個?!」 勇者02「99個」 店員03「は、はぁ…(この不景気な時代に上限で買ってく客なんて久しぶりだ、しかも薬草って…!     初期のマップでちょちょっと剣振ってりゃたーくさん雑魚敵が落とすだろうに)」 勇者03「あの、売るのか売らないのか、どっち?」 店員04「…あんた何考えてるか知らないが、冷やかしなら帰ってくれないか?」 勇者04「ふうん、冷やかしだと思うんだ?」 店員05「値踏みするようで悪いが、その装備、それなりに手間も金もかかるマイナーものだろ。     それなりに経験も金もあるってこった。あんたの言ってることが冷やかしじゃないなら、一体何を冷やかしって言うんだ?」 勇者06「僕が薬草を使うんじゃない、皆に配るんだよ」 店員07「…配る?」 勇者07「先の戦いで傷ついて各地に散らばった兵士たちに薬草を配って歩くのさ」 店員08「何でまたあんたがそんなことを」 勇者08「他の店で買おうかなあ・・・」 店員09「分かった、分かったから…!! はい、薬草99個。9900ネルな。 丁度いただきます、毎度!あ、今度はもっと話聞かせてくれよな!!」 (SE:店のドアの音) 勇者09「ふふ、完全に信じ込んだみたいだ。単純なやつ!」 店員10「あんな子供でも国中を旅してるんだなあ…くー、うらやましいぜ。寂れた村のアイテム屋跡継ぎの俺には一生無理な話だ」 勇者10「あとは噂を広めてくれればこの村の票はいただき。勇者48の国王総選挙1位へ一歩前進♪僕って頭いいっ!」 店員11「それによく考えたら子供のくせにボランティアなんて…すごいヤツだったんじゃないか?!(ん、お客に「ヤツ」はマズイか)     うわああ、折角だからサインでももらっときゃよかった!!あっしかもあいつの名前聞くの忘れた!」 ああああ01「〜♪」 勇者11「あっ」 店員12「ま、また来るだろ」 (SE:店のドアの音) ああああ02「こんちはー!聞いてよ、あたし今そこでさあ、転んで起き上がれないお婆ちゃん助けちゃって」 店員13「いらっしゃ…さっきのヤツもう来たーーー?!?」 店員14「勇者って大体みんな思考レベルも見た目も同じで、その上みーんな生意気なんだな」 ああああ03「しかも薬草って…どケチだよねえ」 勇者12「聞こえてるよ」 店員15「ひい」 ああああ04「あ、勇者48の秘密喋っちゃいけないんだった☆ウフフ、オッケー」 ― ()内は心の声なの読むもで読まないもご自由に