『そしてホワイトバレンタインデー』 A:男性。しょー君。去年までバレンタインデーは街中のカップルに嫉妬して過ごしてた。 B:女性。バレンタインデーだからと気負って、妙なタイミングで妙なことを口走ってる。 A01「ったく、あいつら。せっかく今年のバレンタインも大暴れしてやろうと思ってたのに『リア    充は去れ』だの『裏切り者』だの『お前からはモテない男の初期衝動を感じない』だのと…    …」 B01「あ、いたいた、しょー君。どこ行ってたの?探したよ」 A02「あー……悲しい男たちの戦場に、少しな」 B02「あー。言ったでしょ、しょー君はもうとっくにリア充なんだって。ハブられたでしょ」 A03「くっ、もはやこの世に俺の居場所はどこにもないのか……」 B03「私の隣に居なさいよ。しょー君時々私の恋人だって自覚無くすよね」 A04「……ちんちくりん」 B04「うっさい。黙れ。そして死ね。……ね、ちょっと手を貸して。両手。手のひらを上にして、    両手をくっつけてお椀を持つように。そしたら目をつぶって」 A05「何の儀式だよ」 B05「うっさい。いいから」 A06「はいはい」 B06「……オッケー、そのまま。『おお神よ、ひもじき我らに祝福を与えたまえー』」 A07「怒っていいか?」 B07「ごめん、ちょっと言ってみたくなった。……はい、どうぞ。目、開けていいよ」 A08「……チョコレートケーキ?」 B08「予告通り、バレンタインチョコです。私特製ガトーショコラ。そして予告通りぃ……粉砂糖    をぶっかける!ばさっと」 A09「ちょ、何しやがる」 B09「ハッピー・ホワイトバレンタインデー!」 A10「……今日、雪降ってないんだけど」 B10「それなんだけどね。よくよく考えたら粉砂糖用意しといて使わないでおいてももったいない    なあって。使い道ないし」 A11「手、ベタベタなんだけど」 B11「舐めろ」 A12「……何だろう、生まれて初めて好きな人から本命チョコをもらったはずなのに、まるで嬉し    くない」 B12「気のせい。私は精一杯心を込めて頑張った。喜んでください」 A13「……そ」 B13「じゃ、じゃあ、私これから義理チョコ配ってまわらなきゃいけないから、先帰ってて。じゃ    あね」 A14「……しかし、本当これどうしろと。……まあ、食べるしかないよな。手、ベタベタだし。…    …あー、しかしあれだな。謝るタイミング逃した。……旨い。あいつケーキ焼けたんだな。    ……ホワイトデー、一ヶ月後か。……遠いな」