僕は、夜の冬の公園が大好きだ。 どこまでも澄んで見える、縮れた大気。 鼻を刺す、冷たい空気。 そして、口から出される白い吐息… はぁ…なんてステキなんだ。 こんな夜に、コートを羽織り、一人公園に佇む。最高のシチュエーションだ… おもむろにポケットからタバコとジッポーを取り出し、ポゥと火をつける。 (キン! ジジジ… カチッ!) この、火の付く瞬間がたまらない。 まさにダンディだ。 おっと、足早に帰路へ進むサラリーマンが。 チラリ…とだけ相手を見て、紫煙をくぐらす。 フフン。紳士の嗜みさ。 おぉっと、小学生の集団が。塾帰りかな。 さっと灰皿にタバコを挿すと同時に、煙を掻く。 これも紳士の嗜みさ。 おや…あれは… うつむき加減に、そして足早に。 一人の中学生らしき女性が、こちらに近づいてくる。 そういえば、ちょっと熱くなったな… 羽織っているコートのボタンを、少しだけ開ける。 その刹那… 僕は、夜の冬の公園が大好きだ。 どこまでも澄んで見える、縮れた大気。 「不審者に注意」の張り紙。 そして、口から出される大量の白い吐息… ココはもう、使えないな…