01けーた01「『僕の将来の夢はケーキ屋さんになることです』と書いたら、あいちゃんに笑わ       れた」 02あい01 「『けーたくん、ケーキ屋さんは女の子のお仕事なんだよ』」 03けーた02「だってさ」 04けーた03「ある日テレビを見ていたら、ケーキ屋さんの特集をやってた。にこにこ笑顔でイ       ンタビューに答えてたケーキ屋さんは、なんと男の人だった。驚いた!男でもケー       キ屋さんをやっていいんだ!僕はさっそくこの発見をあいちゃんに教えてあげる       ことにした」 05けーた04「あいちゃん、大発見だよ!ケーキ屋さんって、男でもやっていいんだよ!さっき       テレビでやってた」 06あい02 「……そう」 07けーた05「僕、絶対ケーキ屋さんになるんだ。そうしたら、あいちゃんにもいっぱいケーキ       ごちそうしてあげるからね」 08あい03 「……やだ」 09けーた06「どんなケーキをつくろうかなあ。僕ね、チョコのケーキが好きなんだ。バナナが       いっぱい挟んであるやつ。甘くって、じゅわっとしてて、とろとろで、いい匂い       がして、甘くって、それから甘いんだ!ねえ、あいちゃんはどんなケーキが好き       ?」 10あい04 「やだ!けーたくんのバカ!ケーキ屋さんになっちゃやだ!私もケーキ屋さんにな       りたい!私がケーキ屋さんになるの!甘い苺のケーキをいっぱいつくるの!けー       たくんがなっちゃやだ!」 11けーた07「あいちゃんが泣き出したわけが、僕にはわからなかった。僕はただケーキ屋さん       になりたくて、それから僕のつくったケーキをあいちゃんに食べてほしかっただ       けなのに……。それはきっと、とても幸せなことだと思ったのに……」