A 痛覚を生まれつき持たない B 目が覚めたら突然この状況にいた青年 ―――――――――――――――――――――――――――  地下牢  見た事も無いような拘束具に縛りつけられているB  Bの手は器具の先端の刃物が付いた所に固定させている  SE:指を切断する音 B「…っぐ!ぎゃぁぁぁぁぁぁぁ!!」 A「ああ。目が覚めたかね」 B「ひっ!ぐぅぅぅ!…なんだ?…なんだこれ!?」 A「君は何も心配する必要はない。ただ私の質問に答えてくれればいい」 B「ぃ…っぅぅ…し、質問だ…?」 A「私は生まれつき痛みというものを感じる事が出来なくてね。   どうか痛みというのはどんなものか教えてくれないか?」 B「はぁ!?知るかよそんなの!そんな事よりこの機械から外してくれ!」  SE:指を切断する音 B「がぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」 A「今ので第二間接。なに。あと26回は痛みを感じるチャンスはある。   その間に私に痛みを教えてくれればいい」 B「ぐぅぅ…お前何言ってんだ…?頭イかれてんのか?」 A「どう取ってくれても構わない。私はただ純粋に痛みを知りたいんだ」 B「そんなもん自分で試せば良いじゃねぇか!!」 A「ふむ」  前髪をあげるA。片目は義眼も入っていない空洞となっている。 B「ひっ…!」 A「あらゆる手は尽くしたよ。だが駄目だった。   君が来る前にも何人にも試した。それでも駄目だった。   …君は1食で20万程する料亭で食べた事はあるかい?」 B「…は!?ね、ねぇよそんなもん!」 A「ふむ。なかなか相手の体験した事の無いものを伝えるというものは難しいのだよ。   ちなみに確かに手は込んでいるがあんなもの味を求めていくならそこいらの小料理屋でも充分だ」 B「え…あ…い、痛みだったよな!?なんていうか…もう二度と体験したくないっていうか…とにかく痛いんだ!」 A「痛いのは分かっている。その感覚が知りたいと言っている。   …あと君が持つかは分からないが26回は痛みを知るチャンスがある。その間に教えてくれたまえ」 B「ちょ、ちょっと待ってくれ!!痛いっていうのは――」  SE:指を切断する音 B「っっっぎぃぃぃあああああああああああ!!!!!」 A「どうかお願いだ…私に痛みを教えてくれたまえ」