『僕は戦うよ!たった一人でも!』 僕は戦うよ。 たった一人でも。 誰のためでもない、僕自身のために。 だけど、この戦いで、ほんの少しでも、君たちに喜んでもらえたらなァ。 だって、君たちは僕の敵だけれど、 本当は、 心のどこかでは、 僕と同じことを願っているんだろう? だから僕は戦うよ。 たった一人でも。 僕だけが気づいた、理想の先の世界。 そこは、きっと、とても暖かだから。 僕は戦うよ。 たった一人でも。 幕の下りた舞台。 夢から覚めた夢。 この世界には何も残ってやしないけど。 だけどここに僕がいるから。 僕が大声を上げれば、きっと誰かが帰ってきてくれるから。 そいつはきっと、僕を咎めるためにやって来るのだけれど。 それでも、それはきっと何かを生み出す戦いになるから。 だから僕は戦うよ。 たった一人でも。 この戦いはきっと、痛みを伴うけれど。 僕は戦うよ。 たった一人でも。 僕には戦う義務がある。 僕は世界のあるべきカタチを知っているから。 楽しかった世界の思い出を知っているから。 だから僕は戦うよ。 たった一人でも。 あの幸せな日々を、子どもたちに伝え聞かすために。 子どもたちよ、目覚めなさい。 そして僕のような古い人間ごと、この世界を塗り替えるんだ。 その可能性のために、僕はあえて君たちに牙を剥こう。 きっと、これが一番手っ取り早い方法なんだ。 僕は戦うよ。 たった一人でも。 ……あー、飽きた。 なんつーか飽きた。 だってこの戦いに意味なんて無いしー。 僕はただ、自分がしたいようにやってるだけだしー。 それにしても情けないな、お前ら。 こんな情けない男に致命傷ひとつつけられないなんて。 お前らの言葉は僕の心に全く響かない。 だから僕は戦うよ。 たった一人でも。 きっと僕は、戦うために生まれてきたんだ。 僕は戦うよ。 たった一人でも。 僕のばらまいた嘘が、やがてこの世界に芽吹く日まで。 汚いもの、見苦しいものが闊歩する魔窟ができあがるまで。 善良なるもの、心折れぬものが嘆き悲しむ地獄ができあがるまで。 嘘が真実に、真実が夢物語になる未来を打ち立てるために。 そして世界は反転する。 人は不幸せの中では生きていけないから。 満たされない希望は、いつか爆発するときが来るから。 だから僕は戦うよ。 たった一人でも。 仮面をかぶり、あえてみんなを嘲るんだ。