「さあ、森へ出かけよう」 森田セブンティーンが言いました。 呼応する声はありませんでした。 何故なら森田セブンティーンはひとりぼっちだからです。 だからこそ森田セブンティーンは森に行かなければならないのです。 ポケットには片道分の電車賃と、丈夫なロープが1束。 ポケットから溢れたロープが何とも不格好です。 そんな彼の名は森田セブンティーン。銀行マンです。 森田セブンティーンは森に向けて走りだします。 走るのは割と得意です。 走ります。 走ります。 走ります。 走りました。 疲れました。 飽きました。 森田セブンティーンは森に向かうことを断念しました。 森はあまりに遠かった。 残念。 森田セブンティーンには無理だった。 しょせん森田は森田だった。 森田セブンティーン、情けないやつだよお前は。 お腹がすいたので牛丼を食べました。 美味しくも不味くもない、きわめて普通の味でした。 お腹がふくれた森田セブンティーンは家に帰ることにしました。 ポケットから溢れたロープを辿っていけば家に帰ることが出来るでしょう。 森田セブンティーンがロープを用意したのはこのためだったのですね。 すばらしい伏線回収です。 森田セブンティーンがロープを辿っていると、向こう側から女の子がやってきました。 女の子は不審なロープに興味津々、向こう側からロープを辿っていたのでした。 女の子の名は森田セブンティセブン。 森田セブンティーンの妻になる女性です。たぶんね。 めでたし、めでたし。