「Creep」 ここは宇宙船の中。宇宙空間では力を加えたものは全て静止することがない。 空気の摩擦、重力、あらゆるものからの干渉を受けないのだ。 回転。 回転し始めたペンは延々と回り続ける。 宇宙に、銀河に溶け込むように。自転する星のように。 溶け込む、宇宙の一部になる。 コーヒーに入れられたミルクのように。 動き続けることでやがて、静とも動とも言えるものへとなっていく。 地球という制約が支配するところで生まれた私は、ふと昔を思い出す。 バーで、カクテルを。 バーで、カクテルを。 バーで、カクテルを。 バーで、カクテルを。 同じシーンがエンドレスリピートされる。 一方通行だった思考の電流は、制約を解かれ、同じところをグルグルと回る。 遠いところへ落ちていく、近いところへ浮かんでいく。 バーで、カクテルを。 延々と繰り返される、芳香、陶酔、感触。 これは生きているのか、死んでいるのか。天国か、地獄か。