一話 その3 てつこ47「もしかして…この子が怖がってるせい…?」 兄38「まさか。…いや、でも確かに」 ジョー6「おい、どういう意味だ」 てつこ48「あんたたちは引っ込んでて!! ねえ、落ち着いて。大丈夫だから」 少女18「助けて…助けて…」 てつこ49「絶対助かるわ! ね?」    少女19「こわい、こわい」 てつこ50「ほ、ほら、リリエンタールもそう言ってる!」    51(リリエンタール…! なんか気のきいたこと言いなさいよ…!) リリ25「怖くないですぞ。――お兄さんと、お姉さんがいますので」 兄39・大学生A7・B8・C8(お兄さん?) てつこ52・女子大生12(お姉さん?) おばあちゃん6「おばあちゃんもいますよ」 運転手8「運転手さんもいるよ!」 大学生A8「そうそう。みんないるから大丈夫だぞ!」 女子大生13「きっと無事におうちに帰れるわ!」 みんなに勇気づけられて 少女20「……(声にならない声)」 ぱああと光が指す。 兄40「魚が消えた…!」 魚が消え、壊れたバスが修復していく。 てつこ53「バスが…!!」 大学生C8「明るくなってきた!」 兄41「いいぞ!」 アキラ29「なるほど、そのガキがRD-1だったわけか」   30「つまりそいつを気絶でもさせれば幻も消えるって訳だな」 大学生A9・女声「(歯噛み)」 リリエンタールを抱えたてつこが前に出る。 てつこ54「違う違う。RD-1はこっち」 アキラ31「っ…?! なん(だ)…?!」 てつこ55「ハッ!!」 当身を受け吹っ飛ぶアキラ。 運転手9「わっ」 アキラ32「ぐほっ!!」 大学生C9「おお」 銃を取り出すケンジとジョー。 ジョー7「こいつ…!」 ケンジ4「こ、この!」 しかし一瞬で銃が分解されてしまう。 ジョー8「なっ?!」 ケンジ5「はっ?!」 兄42「すいません。あとでちゃんと直しますから」 殴られて てつこ56「フっ!」 ケンジ6「おぷっ」 てつこ57「直さなくていいから」 兄43「そう?」 リリ26「ほーーー!」キラキラ 女子大生14「すごい…!」 大学生A10「よし、ふんじばっちまえ!」 大学生C10「ひも、ひも」 アキラ33「ぐ…」 よろめきながら起き上がるアキラ。 そして隠し持っていたもう一つの拳銃で狙いを定める。 少女21「っ!! だめっ!!!」 巨大な鯨がバスの横を通りバスが大きく揺れる。 女子大生15「きゃあ」 大学生A11「おわわわわ」 大学生B9「おおっ?!」 その衝撃でバスの穴からアキラが何もない暗闇の空間に落ちていく。 アキラ34「う! …っ」 兄44「あっ!」 少女22「っ!!(真っ青になって息を飲む音)」 てつこ58「落ちる!!」 タッタッタッ リリ27「ほああー!!」 バスから飛び出し、アキラの足に必死にしがみつくリリエンタール。 そしてリリエンタールのしっぽを掴むてつこ。 リリ28「ふんにににににに!!」 てつこ59「落っこちちゃう! 手伝って!!」 大学生C11「引っ張り上げるんだ!」 ジョー9「放さないでくれ!!」 大学生A12「うおりゃああ」 大学生B10「いちにっいちにっ」 女子大生16「もう少し! みんな頑張って!」 なんとか無事に引き上げる。 リリ29「ぜー、ぜー、ほひー、ほひー」 てつこ60「何やってんの! 危ないでしょ!!」 兄45「無茶はだめだぞ、リリエンタール」 大学生A13「だいたいよくよく考えたらこいつバスジャック犯やんけ!      あのまま落としたったらえかってん!」 大学生C12「そうそう!」 大学生B11「落・と・せ、落・と・せ!」 しかし少女が怯えるので、女性陣からクレームが。 女子大生17「やめてください。怖がってます」 大学生A14「あっ、うそうそ。そんなことしない!」 大学生B12「みんな、なかよし!」 アキラ35「そいつらの言うとおりだ。あのまま落としても良かったはず。      なんで助けた…?」 リリ30「なんで…? なんで? ??」   29「暗いところに落っこちるのは怖いですぞ?」 アキラ36「(呆れた声)」 てつこ61「ハアー?」 その他全員「ハハハハハ」 運転手10「はっはっ、あんたたちの負けだよ」 アキラ37「…ふん」 一方絵本には変化が。 女子大生18「見て! 新しい場面が…!」 兄46「じゃあおしまいまで読んでもらおう。きっとそれでうまくいくよ」 和やかに絵本の続きを読む少女。 少女23「潜水艦くじら号は無事に海の底を抜けました。    ここまでくればおうちまでもうすぐです」 リリ31「フンフン」 てつこ62(良かった。笑ってる…) 先程アキラが落ちかけて真っ青になった少女の表情を思い出すてつこ。 てつこ63(もし、あのまま黒服が落ちてたら今みたいには      笑えてなかっただろうな…) 先程のリリエンタールの言葉を思い出すてつこ。 てつこ64(…バカ。話がずれてるっての。…リリエンタール……変な奴……!) 兄47「最後のページだ。海の上に出るぞ…!」 どこかの民家の庭にバスが地面から浮き上がる。 大学生B13「戻った」 大学生C13「おお、普通の景色だ」 てつこ65「ここは…」 兄48「わっ、バスがめりこんでる」 女子大生19「人の家の敷地だけどいいのかな…」 運転手11「こりゃ庭崎町のあたりだな」 少女24「リリエンタール、ぬいぐるみじゃなかったのね」 リリ32「ぬいぐるみじゃなかったのです」 大学生C14「おお?! なんだお前ホントにしゃべれるのか!!      すっげー! おもしれー!」 大学生B14「こりゃ黒服たちもほしがるわ。ははっ」 謝る兄とてつこ。 てつこ66「黙っててごめんなさい…」 兄49「ぼくらのせいでみなさんを危ない目にあわせてしまって…」 大学生A15「いやいや、悪いのは黒服たちだから」 大学生B15「びびったけど面白かった!」 女子大生20「結局みんな無事だったし」 大学生A16「そうそう。ようし、それじゃ帰ろかー」 大学生B16「おう。帰ろ帰ろー」 女子大生21「あ、でもバス…」 運転手12「申し訳ありません。見ての通り埋まってしまっていて…」 大学生C15「じゃ、歩いて駅まで行くか。じゃあなー」 女子大生22「さようならー」 帰っていく乗客たち。 おばあちゃん7「じゃあ、私たちも行きましょうか」 少女25「リリエンタール、またね」 リリ33「はいっ! また会う日まで!」 兄50「…よし、ぼくらも帰ろうか! リリエンタールもいっしょに!」 リリ34「はいっ!!!」 てつこ67「…いいけど、うちで訳わかんないこと起こさないでよね」 リリ35「? ??」 リリエンタールはよくわかってない様子。 リリ36「…でも、どうやって帰りますか? 歩いてですか? またバスですか?」 てつこ68「なに言ってんの? うちはここよ」 リリ37「ほおお?!」 兄51「日野家へようこそ! リリエンタール!」 てつこ69「よそ様に迷惑がかかるといけないから、うちに置いてあげるわ」 リリ38「ほあああ…!!」ぱあああ ナレ6「こうしてリリエンタールは日野家にやってきた」   7「それは不思議な日々のはじまり…」 てつこ70「ペットとしてだけどね」 リリ39「おとうとです!!」  おまけ 運転手13「ああ、お客さん、この家の方なんですか! すみません。      このくらいの土ならなんとかなりそうなもんだが…」 兄52「ああ、気にしなくていいですよ! うちは大丈夫ですから」 リリ40「土を掘って助け出せばいいのです。ここはわたくしめが! …うんしょ、うんしょ」 運転手14「ウーム。海の中にいたせいなのか…不思議なことに、上手くエンジンが      かからなくて…。しばらくここにおかせてもらうことになるかもしれません」 兄53「あの、もし良ければ僕が修理しましょうか。今回のことは僕らのせいでもありますし」 運転手15「出来ますか?! そりゃあ、ありがたい。では、会社の方には私の方から      説明しておきますので、よろしくお願いします。特に急ぎませんので」 兄54「はい、任せてください」 てつこ71「兄貴ー、警察の人が来たよー」 ファンの間で、何日経ってもバスが日野家に置きっぱなしになっているが 大丈夫なのかというツッコミが過去にあったので勝手に補足してみた。